昨夜は、斜里で会議があり、ウトロに移動して会議のメンバーとの会食をし、そのままウトロのホテルに泊まった。 夏ならば、ウトロから羅臼までは40分弱で来られる。知床峠を越えればすぐだ。だが、知床峠が通行止めになる冬期間は、一旦斜里市街近くまで行き根北峠を越えて標津町を回って羅臼に行かねばならない。およそ2時間は要する。 今朝は、その根北峠で大型トラックが事故を起こし道をふさいでいたために1時間以上足止めされて4時間もかかった。 それでも事故による通行止めならまだ良い。この峠は、天候が変わりやすく、長い距離にわたって人家もない。携帯電話の圏外の区間も長く、恐ろしい峠なのである。 国道244号線が通っていて、斜里町側からは幾品川に沿って山に入る。標津町側へは忠類川に沿って下っていく。 若い頃は網走市で暮らし、別海に住み始めてからは標津高校に通い、いままた羅臼との間を往復する僕は、この国道との深い縁を感じている。 人生の半分はこの国道のそばで暮らした。だから激しい吹雪や大雨や嵐の時、この峠を越えたことが何度もある。大粒のボタン雪が大量に降り、しかも風で飛ばされて来て視界が奪われて往生したこともあった。 それでも、なぜだかこの峠が好きだ。 それは、他の峠に比べて人の居住してない区間が長く、一歩誤れば死に直結するような危険な区間が長く続くからだろうか。 この峠を走っていると、あらためて自分が生きていることの危うさや脆さを自覚させられるからだろう。 我々は本来、そんな緊張感をもって生きなければならない。 そんな原則を忘れ、「経済が良くなることが第一です」などとしたり顔でうそぶいている軽薄な者たちへの軽蔑を確認できるからだろう。 経済を優先させた結果、日本の自然はズタズタにされ、里山は荒れ放題、海も川も汚された。 それでも懲りない者への怒りに共感してくれる深山の霊気に触れられるような気がするから、この峠が好きなのだと思う、
by kirinoyura
| 2012-12-17 20:27
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